Bach & Reger / Sayaka Shoji。

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ヨハン=セバスチャン・バッハが全6曲−3つのソナタとパルティータが交互に配置されている−から成るヴァイオリン独奏用の作品集を残していることはよく知られていることである。この6曲は今日、繰り返し録音され、演奏会でもしばしば取り上げられている。しかし、パルティータ第2番を締めくくるニ短調の「シャコンヌ」で山場を迎えるという、極めて均整の取れたこの曲集全体の見事な構造は、おそらくあまり注目されていないだろう。
この曲集を貫くのは、精神による語りである。
ソナタ第1番の冒頭「アダージョ」において熱烈な語りが始まる瞬間から、バッハは痛みを伴いながら深く内省していく。それは孤独の体験であり、物質に対する精神の戦いとしてこれを奏でるヴァイオリンは、聴き手に対してひとつの響きの隠喩を提示しているように思える。
ご存知の通り、「シャコンヌ」には死と復活を歌ういくつかのコラールのモティーフの断片が現れる。この「シャコンヌ」において、全てがカタルシスによって解決されるのである。続くハ長調のソナタ第3番とホ長調のパルティータ第3番は、光、精神の勝利、そして苦悩の末に獲得された喜びへと、私たちを引き戻してくれる。
(Bach & Reger /Sayaka Shoji violin2011)


先日購入したCDはフランスからの輸入版だったが、日本語訳がついていた。
でも、難しすぎてオジさんには何が書いてあるのかよくわからんのだな、これが。

「バッハは痛みを伴いながら深く内省していく」
病院の待合室で聞きながら、ボクも深く内省した。
バイオリンの音に合わせ、不吉な検査結果が思い浮かび胸騒ぎがする。

このCDには、バイオリンの音しか入っていない。
聞けば聞くほど、純粋なバイオリンの音色が心地よい。

× × ×

モーツァルトを聞かせると胎教にいいとか、植物がよく育つとか、酒がまろやかになるという。
クラシックを聞けば、少しはカラダにも良いかもしれない。

「オーケストラ!」の原曲が一体どんなものか、YouTubeで検索してみた。
チャイコフスキーのバイオリン協奏曲で検索すると、
五嶋みどりと庄司紗矢香のものがヒットした。
(Tchaikovsky : Violin Concerto in D major op.35)

コンサートを見て、あまりの演奏ぶりに驚いた。
五嶋みどりはともかく、庄司紗矢香も、何かが憑依しているとしか思えない。
そのイタコぶりは、フィナーレが近づくにつれ激しくなり、怖いほどだ。
若い女が神を振り乱し、ときおり微笑みときおり激しく睨む。こんな光景は日常にない。

音色や演奏、顔つきもさることながら、奏でる楽器も浮世離れしている。
「ナポレオンがレカミエ婦人に贈ったバイオリン」ストラディバリウス「レカミエ」。
400年近くを経過した木材は、果たしてボロッと折れたりしないものなのかどうか。
博物館に展示したほうがよさそうな骨董品を使わなくちゃならない理由は何か。
はたまた、指揮者を含めて、ソリスト以外は全員楽譜を見ているのだが、
これは、ソリストは全てを暗譜しているということなのかどうか。
謎は深まるばかりである。
クラシックファンにこんなことを聞いたら、鼻でせせら笑われてしまいそうだ。

× × ×

庄司紗矢香については、16歳と24歳当時の番組をYouTubeで見ることが出来る。
(そのうち削除されるだろう)
13年前の「16歳のバイオリニスト」(NHK)と、5年前の"I am music"(情熱大陸-TBS系)だ。

テレビ番組を見返して、このバイオリニストにどこかであった気が強くした。
1998年の春、ボクはウィーンとルツェルンに行った。
でも日本人に会った覚えは無いから、これはきっと単なる気のせいなのかもしれない。

2000年当時、ボクはこのNHKの番組を見た(多分)。
きっと親がとてつも無い金持ちで、小さい頃からバイオリンを習っていたに違いない。
だから庶民には関係の無い話だと思っていた。ガダニーニ事件もあったことだし。
でも、事実は違った。

「家計が苦しいから、コンクールで1位でなかったらバイオリンをやめて欲しい」
よくあるこんな約束は、いつの時代も親が子供にあきらめさせるための口実だ。
それでもコンクールで1位になり、世界を飛び回るバイオリニストが誕生した。

自分の意思でバイオリンを選択し、自分の言葉で語る。
改めて過去のテレビ番組を見ると、しっかりした話し方はとても印象的だ。
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それから13年。
庄司紗矢香は、世界中で演奏している。顔つきも変わった。
YouTubeでは、Sayaka Shojiと検索した方が沢山出て来るし、日本語のコメントは少ない。
10月11月の日本でのスケジュールを見ると、2日から3日おきにコンサートが入っている。
「さいたま芸術劇場」でのコンサートも、チケットはかなり売れてしまっているようだ。

バソコン越しに見てこんなに驚くんだから、直接ホールで見聞きしたら一体どうなるのか。
と思ってチケットがいくらするものか見てみたら、2枚組CDの3倍もの値段がしてまた驚いた。
(私が無知なだけで、特に高い設定ではないようだ。)


・Sayaka Shoji

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Commented by Gabrielle at 2012-06-28 06:31 x
情熱大陸  「指揮者 大野和士(おおのかずし)」というTV番組がどこかで見られたら、見てみて下さい。
ミュージシャンもすごいけど、指揮者の仕事ってぶったまげますよ。
オケすべてのパーツを暗記してるんですから。
で、もって当日、誰かが病気でう休みでもしたら、走り回って代作を打つ。すっごい仕事だと思います。大野さん、すてき~。
Commented by bunkasaba at 2012-06-28 11:52
丁度、大野和士は、10日前に公演がありました。
バイオリンで庄司紗矢香も演奏しました。FMで録音する予定です。
コンサート情報は年間計画立てないと聞けませんね。
2012年6月18日(月) 19:00 サントリーホール
2012年6月19日(火) 19:00 東京文化会館
東京都交響楽団 定期演奏会
シェーンベルク:浄められた夜
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番( 庄司紗矢香 )
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
Commented by うみ at 2012-06-28 22:23 x
具合はいかがですか?
好きな音楽を聴いて、ゆっくりしてくださいね。
わたしは先ほど、1時間近く爆睡していました。
Commented by bunkasaba at 2012-06-29 01:23
>うみさん

う〜ん。よいのか悪いのか、ちっとも分かりませんが、私も休んでる間はほとんど寝てました。寝てると、かえって疲れますね・・・。
by bunkasaba | 2012-06-26 20:19 | 生活 | Trackback | Comments(4)