
安物デジタルアンプで音楽を聞き続けること、3日。
とてもよい音に感じるのは、気のせいなのか。
はたまたこれは「動脈硬化」がなせるわざなのか。
どこかで捨てそこなったAVアンプを引っぱり出して、鳴らしてみることにした。
CDプレイヤーに接続し、かれこれ10年使用。
それから15年、電源も入力信号も入れられず、ひたすら暗い場所に押し込められていた。
YAMAHAのAVC-50。
1987年、出入りしていた電気店から、定価の半値で購入した。
80W+80W、電源連動のコンセントが3つ、非連動が2つついているのが魅力だった。
押し入れから出したままで、通電するのはとても怖い。
ケースを開けてみる。
想像通り、25年もののアンプ基盤は、ホコリをびっしりかぶっている。
コンデンサや抵抗は、蔵王の樹氷を彷彿とさせる。

このまま火を入れたら、「オヤジの丸焼け」ができあがることは間違いない。
部品を傷つけないように、エアダスターをかけ、掃除機で軽くホコリを吸い取った。
さらに吹きさらしのように固まっている部分は、綿棒で軽く取った。

MADE IN JAPANの文字が輝かしい。製造業絶頂期の製品だ。
部品数の多さと、多分無駄につけられたであろう機能の多さが目につく。
巨大な放熱板に取り付けられた、STK4191VというSANYOの増幅素子。

おっかなびっくり、POWERボタンを押す。
カシャッ。という懐かしいリレー音とともに、電源が入った。
四半世紀過ぎても動作するアンプに、脱帽するしかない。
CDプレイヤーが無いので、音源はまたしてもMacBook Proである。
まろやかな音がする。人間的といってよいかもしれない。しかし、やはりクリアさは無い。
バイオリンの音がとても平板だ。多分、音域が狭いのだろう。
ボクのような素人が聞いても、明らかに違いが分かるのだから、差は相当なものだ。
インチキアンプの方が、街角や喫茶店でときおりハッとする「いい音」に近い。
「25年前の、放置したアンプと比較するな」というご意見もあろう。
それでも激安インチキくさいアンプは、それなりに聞ける音だ・・・。
何度も聞いた曲が、まるで違う曲のようだ。

高級アンプが果たしてどのように聞こえるのか、ますます知りたくなってしまった。