ハクション大魔王の登場(Google Home Mini)。
2017年 11月 18日
10年ほど前、インターネットラジオのキットを組み立てたことがある。
なんとか組み上げて、パソコン無しでインターネットラジオは聞けるようになったが、日本のラジオ局は聞けなかった。大きな問題は、ときどき音声が止まり、リセットしないと聞き続けられないことだった。
ところが、最近Radikoが聞けると知り、ラジオの機能が妙に気になりだし、3900円のラジオを買うつもりで、ついに買ってしまった。
作りそのものに安さはないが、まともに動作するのか、疑わしく思える。なにしろ、電源スイッチすら無いのだ。消すときは、ケーブルを引っこ抜くのだろうか。電源抜き差しで、壊れないものなのか。説明書もペラッペラだ。
「また余計なものを買い込んでしまったのではないか」という後悔に苛まれてしまい、このまま設定を止め、ビールをあおりご飯をかっ喰らって寝てしまいたくなった。
スマートフォンにGoogle Homeアプリをダウンロードし、指示に従い操作を行う。さらに、アプリを開き、Googleのアカウントに接続して、本体の無線LANの設定を終え、音楽やニュースをどうするかを選択。「OK,Google」と「ねえ,Google」を繰り返し試し、あっけなく設定は終わってしまった。
無線LANのパスワードを探す時間を含めても、ビールを飲みながら設定完了するまで、わずか10分も要しなかった。
■話しかける。
ラジオと音楽再生にしか興味が無いので、「結婚して」などと無謀な要求はせずに、まずはラジオを起動させてみた。
「OK,Google、ナックファイブ、かけて」
「Radikoでナックファイブをストリーミングします」
ほぼ待ち時間無く,79.5が再生された。ラジオと割り切れば、音も悪く無い。
「OK,Google、ジェイウェーブ、かけて」
「Radikoでジェイウェーブをストリーミングします」
切り替えもストレスが無い。これは驚きである。無論、FM東京もベイFMやインターFM、放送大学もカバーする。
スマートフォンのradikoアプリは、起動に時間がかかる上選局が必要だ。もっと言えば、スマホを探して指紋認証が必要だ。こちらは声で話すだけですぐラジオが流れる。
radikoで試験放送中のNHKを含む14局が、声の命令で「すぐ」たちどころに聞ける環境が手に入った。ラジオのように、物理的に「スイッチを入れる」という操作さえ無いのだ。
■巨大なジュークボックスにさらに驚愕。
「Google HomeまたはGoogle Home Miniをご購入いただくとGoogle Play Musicを3ヶ月間無料でお試し」
購入時、こんな紙片をもらった。クレジットカード登録さえ必要無いとも書いてあったので、設定時にGoogle Play Musicを有効にした。
これで、4000万局が3ヶ月無料で聞ける、はずである。太っ腹だ。
「OK,Google、カジャグーグー、かけて」
「Play mucicでカジャグーグーを再生します」
すかさず、Too shyが再生された。これも反応が速い。音声を認識して、ネットワーク越しにクラウドにリクエストしているのだと思われるが、一体どうやって膨大な曲を検索し見つけ、その結果を返しているのだろうか。反応があまりに速い。
「OK,Google、愛の残り火、かけて」
「五輪真弓の残り火ですね。Play mucicで再生します」
ヒューマンリーグの愛の残り火をかけて欲しかったのだが、なぜか五輪真弓がかかってしまった。曲を特定できないらしい。
「OK,Google、ヒューマンリーグの愛の残り火、かけて」
「ヒューマンリーグの愛の残り火ですね。Play mucicで再生します」
洋楽の場合、意訳の、言って見ればヘンなタイトルがついていることが多い。似たタイトルの曲は、歌手名をつけてリクエストする必要があるようだ。
「OK,Google、ヒューマンリーグのDon't You Want Me、かけて」
「すみません、お役にたてそうもありません」
同じ曲なのに、原題では反応しない。発音が悪いせいなんだろうか。
「OK,Google、Don't You Want Me、かけて」
「ヒューマンリーグのDon't You Want Meですね。Play mucicで再生します」
グループ名を省略したら、再生した。どういうことなのか分からないが、反応が速いので、やり直しも別に苦にならない。過去のヒットチャートは、リクエストの回数も多いためか認識するようだ。
近頃ではおとといの晩御飯すら思い出せなくなっているというのに、80年代洋楽のヒットチャートはポンポン思い出せる。だからと言ってCDを購入したり、iTunesでダウンロードしたかといえば、できなくなった。老化に伴い、音楽から遠い、潤いのない生活になっていたのだ。
思い出したタイトルをつぶやくだけで、懐かしのあの頃の曲をたちどころに取り出してくれるのだから、これは年寄りに優しい。加齢に伴う記憶力低下を補ってくれているようでもある。
あまりの面白さに、睡眠時間を削り思いつく洋楽タイトルを連呼し続けてしまった。聞きたい洋楽は、ほぼ聞けた。
最初のガッカリ感はどこへやら、巨大なジュークボックス代としても、6,480円は安いとさえ思う。
■洋楽以外の反応。
歌謡曲、民謡、クラシックはどうなのか。
「OK,Google、北酒場、かけて」
「細川たかしの北酒場ですね。Play mucicで再生します」
日本の曲は、さほど充実していないようだ。歌手によっては全く再生できないし、見つからない場合は似た曲をかけてお茶を濁す。
たとえば辛島美登里は見つかるが、竹内まりやも松任谷由実も、ちあきなおみすら再生できない。キャンディーズも一部、菊池桃子は見つかりもしなかった。
「OK,Google、浪速恋しぐれ、かけて」
「都はるみの浪速恋しぐれですね。Play mucicで再生します」
あんた、遊びなはれ。酒も飲みなはれ。まさか、スマートスピーカーで演歌を聴くとは思わなかった。演歌はリクエストに応えてくれるようだ。
「OK,Google、秋田音頭、かけて」
「佐々木常雄・長谷川久子の秋田音頭ですね。Play mucicで再生します」
キタカサッサ、ホイサッサ、ほいな。民謡も再生できる。
「OK,Google、新庄恋しや、かけて」
「水田竜子の新庄恋しやですね。Play mucicで再生します」
驚いたことに、8月発売の演歌も、歌手名入りで再生された。
■どれほど正確に聞きとっているのか。
「バイオリン協奏曲」は認識せず、「バイオリンコンツェルト」に反応。検索のキーワードはまだまだ改善の余地があるようだ。「庄司紗矢香」は再生できるが、ブラームスなど個別に指定できない。
「ボサノバ」「シャンソン」「カンツオーネ」と言った種別は分からないのだが、「小野リサ」や「帰れソレントへ」は再生できる。
いずれ、不明瞭な音声指示も克服するのだろうが、今のところ目的の曲にたどり着くに多少工夫が必要だ。どもっても、目的の曲にたどり着く一方、明らかな言い違いは、聞き取っている。
「OK,Google、遥かなるハゲ、かけて」
「ごめんなさい、わかりません。」
確かにそんな曲は存在しない。
「OK,Google、カーペンターズの遥かなる影、かけて」
「カーペンターズの遥かなる影。Play mucicから再生します」
さすがに、これは再生できる。
「OK,Google、カーペンターズのClose To You(クローズと発音してみる)、かけて」
「カーペンターズの遥かなる影ですね。Play mucicから再生します」
適当な発音でも、再生するようだ。
「OK,Google、ジョニミッチェルの青春の光とハゲ、かけて」
「Play musicでジョニミッチェルの青春の光とハゲを探しましたが、現在使えないようです」
発音は適当でも、ハゲは嫌いらしい。ちなみに「ハゲ山の一夜」は認識した。
「OK,Google、ジョニミッチェルの青春の光と影、かけて」
「ジョニミッチェルのBoth Sides Nowですね。Play mucicから再生します」
なぜか、邦題を原題に変換して再生した。
◾️結論。
Google Home Miniは良い意味で期待を大きく裏切ってくれた。他の機能に興味はないが、ジュークボックス+ラジオの機能は素晴らしい。ハクション大魔王は、もうここにいるのかもしれない。
ところで、Amazon echoには外部出力があり、Blutoothスピーカーに音声を出力できるが、Google Home Miniには外部出力端子がない。